映画『アイリッシュマン』の感想とあらすじ
【目次】
【作品情報】
あらすじ
全米トラック運転手組合「チームスター」のリーダー、ジミー・ホッファの不審な失踪と殺人事件。 その容疑は、彼の右腕で友人の凄腕のヒットマンであり、伝説的な裏社会のボス：ラッセル・ブファリーノに仕えていたシーランにかけられる。 第２次世界大戦後の混沌としたアメリカ裏社会で、ある殺し屋が見た無法者たちの壮絶な生き様が描かれる。
キャスト
- ロバート・デ・ニーロ(フランク・シーラン)
- アル・パチーノ(ジミー・ホッファ)
- ジョー・ペシ(ラッセル・バッファリーノ)
【レビュー】
感想
マーティン・スコセッシ監督とロバート・デ・ニーロが『カジノ』以来22年振りにタッグを組んだ本作は、上映時間が209分と長丁場だが、第２次世界大戦後のアメリカ現代史を裏社会から骨太に描いていて最後まで飽きさせない。
マーティン・スコセッシ監督とロバート・デ・ニーロがタッグを組んだ名作は、現在大ヒット中の『ジョーカー』の元ネタと言える『キング・オブ・コメディ』や『タクシー・ドライバー』、更に『レイジング・ブル』や『グッドフェローズ』等、枚挙に暇がない。
Netflix配給の本作もその中に連ねられると同時に、マーティン・スコセッシ監督やロバート・デ・ニーロにとって一つの集大成と言っていいと思う。
この作品を観るまで、アル・パチーノが演じた全米トラック運転組合委員長ジミー・ホッファを知らなかったが、1960年代前後のアメリカにおいて政治家でもない民間人で、こんなに影響力のある人物がいたことに驚きを覚えた。
ドラマはこのジミー・ホッファの1975年の失踪事件を山場にして、そこに至るまでのロバート・デ・ニーロが演じたフランク・シーランの半生を浮き彫りにする。
その半生は、一介の食肉運送ドライバーから運命的な出会いによって大きく変わり、与えられた“仕事”をきっちりやっていくことで“幹部”や“組織”から信頼を得、どんどんのし上がっていく。
その“仕事”を本作では「ペンキ塗り」と表現していたが、要は“汚れ仕事”だ。
彼はたとえ“汚れ仕事”だろうと、愛する家族や仲間を守る為、感情を押し殺して遂行していく。タイトルの「アイリッシュマン」とは、そういった仕事の積み重ねに対する“勲章”のようなものを表す。
本作を観ていると、監督、役柄、筋立ても違うが、ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノが出演し、ドン・ヴィトー・コルレオーネとマイケル・コルレオーネの父子のドラマが展開する『ゴッドファーザー PARTⅡ』と相通ずるものを感じてしまう。
暴力で血塗られたドラマのラストにある寂寥感が深い余韻を残す作品だった。
おすすめ度
映画『アイリッシュマン』のおすすめ度は4.4点(5点満点)。
アルパシーノ登場に思わず座り直す。男たちの葛藤をじっくり見せていただいた至福の三時間二十九分。とても深い余韻のある終わり方だった。
月末にはNetflixで公開されるが、できるなら映画館で鑑賞することをお勧めする。音楽監督をロビー・ロバートソンが務めていることもあって、エンドロールまでたっぷり満足させてくれる超大作。
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【おまけ】
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