ゆとりふぃるむ

映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の感想とあらすじ

【目次】

【作品情報】

f:id:yutori_jpn:20191224205606j:plain

(C) 2019こうの史代双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

あらすじ

1944年、すずは結婚して広島県の呉に行き、夫の周作やその両親たちと新しい生活を始める。次第に戦況は悪化し生活にも影響が出始めるが、彼女は日々知恵を絞って生きようとする。ある日、道に迷ったすずは遊郭でリンという女性と出会い、嫁いで来て初めて知り合った同年代の彼女と打ち解ける。そして1945年3月以降、呉はたびたび空襲を受けるようになる。

キャスト

f:id:yutori_jpn:20191224205621j:plain

(C) 2019こうの史代双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

【レビュー】

感想

前作の拡張特別編やディレクターズ・カットだと思って観に来ればなんとびっくり。追加される要素のある・なしで丸きり別の映画に大変貌。挿し込まれたシーンの画や演技への違和感のなさも凄いと言うか、きちんとその布石が元の映画に残されていたのが巧いというか。

 

比較的大局的に戦時の人々の暮らしを、ユーモアたっぷりに描いていた前作とは異なり、それらは全く削らないものの、そちらでも中盤より登場していた遊女・白木リンのエピソードを足すことで、浦野すずという女性の生き様、他に決められて敷かれたレールを歩く生きづらさ、それでもここに根を張ると決めるまでの部分がはっきりと描かれている。

 

序盤の周作さんの意味深な態度、あの性格でなぜ夫とは長くぎこちなかったのか、唐突に登場したあの「紅」は何なのか。付け足されたシーンのお蔭でそれらが成す意味が重なり、明るかった日常の裏ではこんな愛憎があったのか、と驚くばかり。成る程、これはこれ単体の新作映画。受け取る内容が180度異なるシーンの連続。

 

前作にあった行間と行間との埋め具合が気持ち良く、繋ぎ目は(前作鑑賞者には)すぐに解るが、テンポを阻害するようなものは何も無い。のほほんとユーモアを描く中盤でさえ、明かされた真実のせいか少し重ためだけれど、それでも元の良さを殺すようなことはない。

 

リンの口から語られる「居場所なんて、そうそう無くなりゃあせんよ」という言葉が他の既存シーンと結び付き、ラストの「ありがとう。この世界の片隅に私を見つけてくれて」に繋がる流れが非常に美しい。

 

すずさんとリンさんの関係に多くの補完が成されているけれど、もう一つの評価要素である戦時のミリタリー描写にも抜け目が無く。祖父・円太郎がエンジンを吹かす新規カットの迫力には片渕監督の侠気みたいなものを見てしまった。あれは大音量で聴いてみたい。

 

惜しむらくには、追加カットに依ってすずさんの物語として完成した反面、前作にあった戦時の暮らしをユーモアたっぷりに描く部分が薄くなってしまったところか。削られてはいないけれど、物語の主体が移ってしまったのでどうしても印象が薄くなりがち。 

 

尤も、それも含めて「別の映画」ということなのだろうか。これから観に行くなら前作から本作、いやむしろ本作を先に観てあとで前作を復習しても良いかもしれない。それくらい、鑑賞後の印象に違いのある映画だった。

おすすめ度

映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』のおすすめ度は4.6点(5点満点)。

今作ではリンさんとすずさんの女性としての人物像に深みが増していた。新たなエピソードが加わった分、2人に対する印象が変わり、それによって周作さんへの印象も変わった。

「さらにいくつもの」という言葉にはこの時代に生きていた人たちひとりひとりに対する敬意を含んでいるように思った。

そして改めて、戦争の足音、爪痕の恐ろしさを感じ、そんな中でも狂うことなく生きてきたたくさんの人たちのおかげで今日があるのだと実感した。

笑いのある他愛のない日常がどれほど貴重で大切なものかを教えてもらった。

【おまけ】

ホームシアター

超低予算でホームシアターを作る方法をブログ内で紹介している。ホームシアターに興味があるけどプロジェクターの購入をためらっている人や、大画面で友達とゲームをしたいと考えている人はぜひ読んでみてほしい。

yutori-film.hatenablog.com

動画配信サービス

私は映画の最新作品が観たい時は映画館に行くが、過去作品が観たい時は家で動画配信サービスを利用して鑑賞している。

利用しているサービスはアマゾンプライムビデオ。すでに利用している人なら分かると思うが、アマゾンプライムビデオはとにかくコスパが良い。年間4900円、月額にして約400円で20000本以上の映画やドラマ、アニメを視聴することができる。

30日間の無料体験もできるので、気になっている人はぜひ一度無料体験で利用してみてほしい。

 

▽公式ウェブサイト

Amazonプライム

 

また、日本国内にある大学、大学院、短期大学、専門学校、高等専門学校に現在通っている学生で、学籍番号を持っている人は、アマゾンスチューデントがお得。

年間2450円 、月額約200円でサービスを利用することが可能だ。さらに無料体験期間も6か月と長くなっている。学割恐るべし。

アマゾンプライムビデオは学生の人には特にお勧めのサービスである。

 

▽公式ウェブサイト

Amazon Student

 

そして、アマゾンプライムビデオを家で観る時に欠かせないのがアマゾンFireTVStick。テレビに接続するだけで、アマゾンプライムビデオの動画をテレビで視聴することができる。専用のリモコンが付属しており、そのリモコンがとても操作しやすくて気に入っている。

アマゾンプライムビデオを利用している人は絶対に使ったほうが良い。