ゆとりふぃるむ

映画『ルース・エドガー』の感想とあらすじ

【目次】

【作品情報】

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(C)2018 DFG PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.

あらすじ

文武両道に長けた17歳の黒人少年ルース(ケルヴィン・ハリソン・Jr)は、戦争中の母国から裕福な白人の養父母ピーター(ティム・ロス)とエイミー(ナオミ・ワッツ)に引き取られ、バージニア州アーリントンの高校に通っている。ある日、ルースは課題のことでアフリカ系の女性教師ウィルソン(オクタヴィア・スペンサー)と対立する。ウィルソンは、ルースが過激な思想を持っているのではないかと考えていた。

キャスト

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【レビュー】

感想

"優等生"か"怪物"かというキャッチコピーが、すでにミスリード。確かに、物語はルースが危険人物なのではないか?という疑いが生じるところから始まる。レポートには暴力を肯定するかのような記述があり、ロッカーには花火の火薬がしまわれている。

 

さらに、彼はアフリカで「車の運転より先に銃の扱い方を覚えた」過去を持つ。これだけそろえば、観客も疑いの目を向けざるを得ない。しかし、結果的に彼は、"怪物"などではなかった。

 

ルースは、自分を引き取って育ててくれた両親のために、努力を重ねて"優等生"になった。それはあくまで、両親への感謝の気持ちからであり、彼自身の未来のためでもあった。そのために名前を変えたことさえ飲み込んでいるのだが、その心理はギリギリの均衡状態であったように思える。

 

そんな彼を、教師のウィルソンは"黒人の未来"のために、完璧な黒人に仕立て上げようとした。その目的のためには、他の生徒を"引き立て役"として犠牲にしさえする。むしろ、"怪物"であったのはウィルソンの方だろう。そしてルースは暴走し、ウィルソンを破滅に追い込んでしまう。やり方はともかく彼が「やるべきことをやった」と思うのは、彼に肩入れしすぎだろうか。

 

本国アメリカで本作を鑑賞した観客は、どのようにルースを見ていたのだろう。白人であればルースをより疑い、黒人であればルースの無実を信じていたかも知れない。しかし、そのようなバイアスをかけて人を見てしまうこと自体が、ルースを苦しめる最大の原因なのだ。疑うように仕向けておいて、無実かそうでないかを「決めつける」ことが問題なのだと観客に突き付ける構成は、かなり意地が悪い。

 

エイミーとピーターが、「ルースを育てるのに犠牲を払った」という事実を、認めるか認めないかで揉めるシーンがある。エイミーはそれを認めようとしない。しかし、ルースをギリギリまで信じようとするのは、「犠牲を払った」以上は、それに見合った結果が欲しいという願望の表れとも言える。そして、その願望が「ルースは無実」という思い込みを生み、結果として真実が見えなくなってしまう。

 

ウィルソンを教職から追いやっても、ルースの置かれた立ち位置は何も変わらない。ルースを抱きしめながら、エイミーは「あなたには未来がある」と言い、言葉とは裏腹に涙を流す。ルースはこれからも"優等生"のままで、おそらく開かれた人生が待っているのだろう。しかし、それは"優等生"であり続けるというプレッシャーにさらされ、全力疾走を続けるということだ。あのラストシーンのように。

 

苦しみ喘ぐルースの姿を見て、アメリカの観客は何を思うのだろうか。

おすすめ度

映画『ルース・エドガー』のおすすめ度は3.6点(5点満点)。

アカデミー賞助演男優賞助演女優賞の常連オクタヴィア・スペンサーの演技力が物語の難解さに拍車をかける。ナオミ・ワッツティム・ロスも印象的。BGMも良い意味で不信感を増幅させている。

はっきり黒人差別を描いているわけじゃないのに、このモヤモヤとした感じがもどかしい。誰が嘘をついているのか、なにが真実なのかずっと不気味。

多くの作品を観ている映画好きほど騙されるかもしれない。推理をすると、かえって謎が深まっていく。ラストのあの表情は・・・

【おまけ】

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